新型コロナウイルスの新規感染者数増加に伴い、4都府県に3度目となる緊急事態宣言が発出、7県にまん延防止等重点措置が適応されている。飲食店には、休業や時短営業が要請されており、依然として厳しい状況が続いています。
こうしたなか、各自治体で取り組みが進んでいるのが、感染防止対策を行っている飲食店を自治体が認証する「第三者認証制度」です。
4月30日には、政府から各都道府県知事に対し、飲食店の感染防止対策を徹底するため、すでに一部の自治体で成果を上げている第三者認証制度を参考に導入するよう、事務連絡が出ています。
認証基準の必須項目とされているのは、「全席に目を覆う高さ以上のパーティション(アクリル板等)を設置するか、座席間を1m以上確保する」、「来店者に食事中以外のマスク着用を推奨する」、「2方向の窓を全開にし、30分ごとに5分程度の換気を行う」といったもの。
ちなみに、ここでいう「すでに一部の自治体で成果を上げている第三者認証」とは、後述する「やまなしグリーン・ゾーン認証」、いわゆる”山梨モデル”のことを指している。
そこで今回は、この「やまなしグリーン・ゾーン認証」をはじめ、”山梨モデル”を皮切りに作成された各地の第三者認証制度の状況や、それぞれの制度を取得した場合の店側のメリットなどをまとめていきたいと思います。
安心して飲食ができる目印に。”山梨モデル”とは?
今回、政府が参考モデルとして掲げている山梨県の「やまなしグリーン・ゾーン認証」は、現在各地で創設されている第三者認証制度の先駆けでもある。新型コロナウイルスの感染防止対策として、昨年山梨県で創設された制度で、飲食業や宿泊業などが申請できる。
同制度は業種ごとに細かな認証基準が定められており、飲食店においては、今回の政府による基準案のベースとなった39の項目が設けられている。施設側はその基準に沿った感染防止対策を行った上で申請をする。申請後に山梨県が実地調査をし、基準を満たしているかどうかを確認。基準を満たしている施設に対しては、認証マークが交付されるという流れだ。
認証後も県民からの通報を受け付けているほか、抜き打ち検査を行い、認証の質を維持するよう努めている。なお、このところ感染力の強い変異株が猛威を振るっていることから、4月30日付で基準の見直しが行われ、「飲食店利用者に対し、氏名、連絡先等を記入するように要請すること」などが追加された(こうしたデータは、個人情報保護法に基づく適切な管理のうえ、万が一陽性者が出た際の保健所への情報提供にのみ使用される)。
これまでも、感染防止対策を行っている店舗に対し、ステッカー等を配布している自治体はあったものの、その正当性については飲食店が自己申告するにとどまっていた。一方で、「やまなしグリーン・ゾーン認証」を始めとする第三者認証制度では、自治体側が実地調査を行っており、消費者に対し、より感染防止対策の徹底を証明しやすくなっている。
飲食店としても、自治体から感染防止対策のお墨付きが貰えるというのは、客に対するアピール材料となるはずだ。さらに、第三者認証制度を進める自治体のなかには、認証を受けた店舗に対し、何らかのインセンティブを検討しているところもある。取得後のメリットについては、飲食店にとっても見逃せない点となるだろう。
各地の「第三者認証制度」の状況は?
■神奈川
神奈川県では、「マスク飲食実施店」認証制度が創設されている。同制度では、基本的な感染防止対策に加え、マスク飲食実施店認証条件などのチェック項目が設けられている。チェック項目については現地確認が行われ、基準を満たす店舗には「マスク飲食実施店認証書」を交付。7月頃には、県民目線で飲食店を評価するモニター制度が始まる予定だ。認証を受けることで、神奈川県の広報によるPRや、マスク等の無償提供を受けられるメリットもある。
■千葉
千葉県知事は、4月8日に行われた定例記者会見で、飲食店の対策を実際に確認し、認証する制度を導入することを検討していると発表。まずは、モデル市と連携し、制度設計をしていくという。また、同会見では、認証を取得した店舗に対して、時短要請を緩和するなどのインセンティブを検討していることも明らかになった。
第三者認証制度は、今回ご紹介した自治体のほかにも、沖縄や埼玉、群馬など、様々な地域で導入が始まっており、今後さらに全国で導入が加速するものとみられる。認証取得は、飲食店にとってもメリットが多い。