厚生労働省は5月上旬、東京都や大阪府等に緊急事態宣言が発出されたことを受け、宣言対象地域における雇用調整助成金及び休業支援金等の地域特例を、6月30日まで適用すると発表。
なお、雇用調整助成金及び休業支援金については、以前も紹介したとおり、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)の実施区域と、とくに売上が悪化している企業以外は、5月以降、原則縮減されている。
今回は改めて本特例措置の内容と、一部変更された点について紹介します。
緊急事態宣言・まん延防止措置地域と業績悪化企業を除き、原則縮減へ
雇用調整助成金の特例措置とは、新型コロナウイルスの影響を受け、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当等の一部を助成する制度。現在は、原則的に中小企業の助成率は4/5(解雇を行わない場合は9/10)、大企業の助成率は2/3(解雇を行わない場合は3/4)、一人当たりの支給上限額は最大13,500円となっており、4月末までの内容と比べると、縮減された形だ。
一方で、緊急事態宣言下にある地域やまん延防止措置が適用されている地域は、6月末まで「地域特例」が適用される。地域特例の適用期間は、緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置が実施された期間の末日の翌月末まで(7月の取り扱いは、近日中に決定される予定)。各都道府県知事による、営業時間短縮等の要請に協力することも条件となっている。地域特例が適用となる場合、助成率は4/5(解雇を行わない場合は10/10)、一人当たりの支給上限額は15,000円だ。
さらに、休業手当の支払いを受けられなかった従業員が申請できる休業支援金についても、地域特例が6月末まで適用される。休業支援金は、いずれの場合も休業前賃金の8割を支給。1日当たりの支給上限額については、原則9,900円だが、地域特例が適用される場合は11,000円となる。
また、雇用調整助成金は、とくに売上が悪化している事業主についても6月末まで「業況特例」が適用される。業況特例が適用される場合、助成率は4/5(解雇を行わない場合は10/10)、一人当たりの支給上限額は15,000円だ。
業況特例の対象となるのは、①「休業を開始した月から遡って3か月間の生産指標(売上高等)」と、②「①の前年同期または前々年同期の生産指標」、それぞれの月平均値を比較した時、①が30%以上減少している事業主。2021年1月8日~6月末までの休業期間が対象になる。中小企業については5月1日~6月末までが対象だが、4月末以前の休業に関しても、原則的な措置において、実質的に同水準の助成が受けられる。
■雇用調整助成金【原則的な措置】
・助成率:中小企業4/5(解雇を行わない場合9/10)、大企業2/3(解雇を行わない場合3/4)
・1日当たりの支給上限額:13,500円
■雇用調整助成金【業況特例・地域特例】
・助成率:4/5(解雇を行わない場合10/10)※企業規模を問わず
・1日当たりの支給上限額:15,000円
■休業支援金【原則的な措置】
・支給額:休業前賃金の8割※企業規模を問わず
・1日当たりの支給上限額:9,900円
■休業支援金【地域特例】
・支給額:休業前賃金の8割※企業規模を問わず
・1日当たりの支給上限額:11,000円
5月20日現在、緊急事態宣言は9都道府県に、まん延防止等重点措置は10県に出されている。雇用調整助成金は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域かどうかで、助成率等が変わってくるため、政府の動向をしっかりとチェックしてほしい。
また、厚生労働省の発表によれば、雇用調整助成金は、7月以降さらに縮減する方針となっている。今後も引き続き、動向を注視していく必要がありそうだ。